霞が関の国家公務員による月378時間の残業時間はギネス記録として申請すべき

 まだご存命なのは分からないが、内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策推進室で働く職員の中に、1月の残業時間が378時間に達した猛者がいたらしい。新型コロナウイルス感染症対策推進室といえば、今の霞が関で最も多忙を極める部署であることは想像に難くない。そのうえ、1月は霞が関でも正月の特別休暇が設けられているため、残業時間が発生しやすい月なのだろうが、それにしても378時間という数字は圧巻である。民間企業でこんな人物が輩出されてしまったら、上司の首が飛ぶくらいでは済まないくらいの大事になるはずだが、さすがは労基法適用対象外とされている霞が関である。

 このことを知った時に、まず頭に思い浮かんだのは、「そもそも1ヶ月って何時間だっけ?」という疑問である。電卓を弾くと、31日の場合、744時間である。残業だけで378時間ということは、通常の業務時間も入れると、550時間程度を仕事に費やしていた計算になるだろうか。その場合、プライベートに割ける時間は200時間もない。1日あたりに換算すると、6時間ちょっとである。食事と睡眠と通勤を除いたらもう何も残らない。

 おそらく、この人は寝袋でも持ち込んで職場に寝泊まりしていたのではないだろうか。真偽のほどは知らないが、霞が関にはソファや長椅子をベッド代わりに使っている人が一定数いるらしい。口さがない野郎議員なんかが「税金で食わせてもらってる公務員が庁舎に無料で寝泊まりするのはけしからんので、宿泊費を徴収すべきだ」などと言い出さないか心配である。

 いずれにしても、残業378時間という数字は、強靭な体力と精神力を兼ね備えた人材が、文字通りプライベートを無視して、全てを擲たなければ達成できない大記録である。1ヶ月間の最多残業時間記録というのがあるのかは知らないが、せめてもの報いとして、ギネス記録として申請するくらいのことはしてやっても良いのではないだろうか。本人にとっては名誉として、霞が関全体にとっては不名誉な記録として語り継がれるべきである。

 また、内閣官房の組織がどのようになっているのか分からないが、どうも新型コロナウイルス感染症対策推進室を預かっているのは、西村経済再生担当大臣であるらしい。西村大臣によると、378時間残業をした職員は、「意欲があり、周囲から頼られる存在であった」とのことである。まさに「余人をもって替えがたい」というところだろうか。

 そんな頼りがいのある人なので、おそらくこの人は2月も3月も残業を200時間くらいはさせられるのだろうが、新型コロナウイルスが収束した暁には、是非当時の仕事や生活ぶりを振り返り、インタビューでも著述でもしていただき、月378時間の残業にもめげない体力・精神力作りや、そもそもなぜ月に378時間もの残業が発生するような状態になってしまうのかなどについて、様々な見地から科学的な検証が行われるべきであると思う。

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