2021年6月15日(火)の朝、僕が愛用している日記アプリのDay Oneからメールが届いていた。これまでもメジャーアップデートなどに合わせてメールが来ることはあったので、それ自体はさほど特別なことではない。しかし今回のメールは件名からして、いつものメールとは違ったオーラを放っていた。
曰く、「Day One is being acquired by Automattic Inc.」とのことである。読んでみると、「Day OneはWordpress.comやTumblrでおなじみのAutomatticに買収されることになりました。でも私達は今度もDay Oneの開発に関わり続けるから安心してね!」と、まあ概ねこのようなことが書かれていた。
僕とDay Oneとの付き合いは長く、2012年8月からこのアプリを使って日記を書いてきた。さすがに毎日欠かさずというわけにはいかないが、約10年で2,700件もの日記エントリーが書かれているところを見ると、飽きやすい僕にしてはよく続いている方ではないかと思う。
日記をつけることのメリットについては、ストレスが軽減されるとか、自信がつくとか、脳に良い影響があるとか色々言われているが、僕自身は特にそのような効果を実感できてはいない。日記をつけたくらいで頭が良くなるんなら、己の馬鹿さに悩む人は半減するはずである。強いて日記のメリットを挙げるとすれば、「後で読み返した時に面白い」ということくらいだろうか。
過去の出来事というものは覚えているようで、案外覚えていないものである。辛うじて頭の片隅に残っている記憶の断片も、それを時系列に並べかえることは至難の業であろう。また、例えば2015年10月28日に何が起きたか思い出せと言われて、すぐに当時の記憶を甦らせるのは不可能だろう。日記さえつけていれば、それを遡っていくだけで、記憶を甦らせることも、時系列に並び替えることも可能となる。もっとも、記憶を時系列に並び替えろと言われることなど人生に一度あるかないかのことではあるが。
ちなみに、僕の場合、2015年10月28日は日記をつけておらず、その日僕の身に何が起きたかは不明である。まあ、日記なんてそんな程度のものだ。
それでも、暇なときなんかに過去の日記を読み返し、「そういえばこんなこともあったな」と懐かしい気分に浸ることはできる。僕はそれだけのために、日々の時間の幾ばくかを日記を書くことに費やしているわけである。
僕が日記を書く理由はそのくらいのものだが、日記をつけるのにDay Oneを使っている理由はいくつかある。
ひとつは検索性の高さである。例えば「随分長いことうなぎ食ってないけど、この前食ったのいつだっけ?」なんてことが気になってしまって眠れない、という時には、検索欄に「うなぎ」と入力すれば、「うなぎ」という単語が含まれる日記エントリーが表示されて便利である。
iPhoneのGPSをオンにしておけば、その日に訪れた場所や、その時間の天気や気温を自動的に記録しておいてくれるのも便利である。美味しい料理を食べたレストランの店名や、旅先で訪れた観光地スポットなど、後から人に勧めたくても度忘れして思い出せない時などに役に立つ。
また、画像を貼り付けることもできるので、日記を文字で書くのが面倒だという人も、スマホで撮影した写真をそのまま添付すれば、その日にどんなことがあったかを思い出す手掛かりにはなる。
以上のように、Day Oneは、人それぞれに様々な使い方ができる大変便利な日記アプリである。
Day OneがAutomatticの傘下に入ったことにより、今後どのような進化を遂げていくのか楽しみに見守っていきたい。願わくば年間2,800円というサブスクリプション価格にメスが入って値上げなんてことがないのを祈るばかりである。また、代表的なサービスの二番目にTumblrが出てくる会社ってどうなのよ?という一抹の不安は無きにしもあらずである。個人的には、Simplenoteの方がよく使っているんだがなあ。