一般的に、1日の食事は朝昼晩の3回に分けて、規則正しくしっかりと食べることが健康的であるとされている。
しかし、僕には1日3度というのはどうも食べ過ぎているような気がしてならない。
さすがに40歳にもなれば、もうこれ以上身体は成長しないし、仕事もデスクワークが主体なので、スポーツ選手や肉体労働者に比べればカロリー消費量も圧倒的に少ないわけである。
そんな人間に一日に三度も食事を与えるのは身体にも良くないのではないか。
世の中には色々な人がいて、腹が減っていては寝られないという人もいれば、満腹では眠れないという人もいる。
僕個人は後者に属するようなので、食事は朝と昼の2食だけにして、夕食は食べないようにしている。そうすると夜の間よく眠れたような気がするし、翌朝の寝覚めもすっきりする。
十人十色という言葉があるように、食事のとり方ひとつをとっても、万人に共通する最適解はないということなのだろう。
そんな風に思っていたところに、タモリの食事のとり方に関する記事を見かけたので読んでみたところ、僕にとっては感銘を受けることが大きかった。
タモリ 食事は1日1食半の小食スタイル「固形物が胃に入らない時間を長くした方がいい」
タモリが朝のニュース番組に出演した際のインタビューをまとめたもので、記事としてはほんの500文字足らずのものであるが、どこぞの無意味に文字を連ねただけのブログとは違って要点が簡潔にまとめられており、得られるものは遥かに多い。
内容を要約すると、概ねこのようなことが書いてある。
・タモリの1日の食事は1食半程度で規則正しくは食べない。
・野菜と魚中心の食生活で、ご飯は少なめにして食べすぎないようにしている。
・空腹時の方が身体が軽く調子が良いので、固形物が胃に入っていない時間を長くする。
こんなことをつい最近まで毎日規則正しく、正午からの生放送の番組の司会を務めていたおじさんが言っているのだから笑ってしまうが、これは「食事は規則正しく食べよう」という一般的な固定観念に一石を投ずる内容ではないだろうか。
考えてみれば、人間の身体というのは機械のように規則正しく動くようにできていない。
規則正しく1日8時間眠ったつもりでも、よく寝たという日もあれば、まだ眠いという日もある。
同じ人間であっても、日によって活動内容も違えば、疲労具合や精神状態も違うのものだ。まして世の中には色々な事情を抱えた人間たちが何十億人も肩を寄せあってくらしている。
そんな人間の集まりに対して、杓子定規に7時になったら朝食、12時になったら昼食・・・というように機械的な食生活を当てはめようというのは実は理に適っているようでそうでもないということに気付かされる。
以前読んだ「砂糖の世界史」という本に出ていたが、近代以前の家内制手工業が主な産業の形態であった時代、人々は規則的に食事をしておらず、「腹が減ったら食う」というシンプルなライフスタイルであったという。
ところが近代以降、人々が工場に集まって働くようになると、労働者がてんでばらばらに飯を食っていのでは工場が稼働的なくなるので、食事などの休憩時間を一律に定めるようになったそうだ。
そうした経緯を考えると、現代は美徳のように考えられている「規則正しい」ということ自体が実は非人間的なことなのではないだろうか。