この記事を書いているのは2021年の年末だが、どうやらこの冬は寒さが厳しくなりそうな雰囲気である。筋金入りの冷え性である僕は、忍び寄る厳冬の気配に戦々恐々としている次第である。
「冷えは万病のもと」と言われるように、身体が冷えると免疫力が下がり、そこから様々な身体の不調が生じてしまう。世界的に免疫力のアップが最優先課題となっているなか、身体を温めることこそが免疫力アップの第一歩と言えるだろう。
身体を温める方法は色々あるが、真っ先に思いつくのは、今や空前のブームとなっているサウナであろう。僕自身もサウナを好んで利用しているが、サウナの中に5分ほど座って、全身に大汗をかいた後にキンキンに冷えた水風呂に飛び込むと、身体中の毛穴が引き締まり、サウナの熱が長時間身体の中に閉じ込められて身体が暖まるのだ。そのうえ、どんな仕組みが働くのか知らないが、頭もスッキリした気がするので、まさに一石二鳥である。
一方で、時に100℃を超える異常に暑い空間に何分も入った直後に、15℃前後の異常に冷たい水の中に入ることについて、多くの専門家がその危険性を指摘している。様々な健康被害の中でも特に危惧されているのが心筋梗塞や脳梗塞である。サウナと水風呂に交互に入ることにより、血管が膨張と収縮を繰り返すため、心臓や血管に負担がかかるので、心筋梗塞や脳梗塞を誘発しやすいのだそうだ。確かに著名人が突然亡くなったということがニュースになる際には、直前までサウナに行っていたという話をよく聞く。
心筋梗塞や脳梗塞だけではない。ネットで色々と検索するだけでも、真偽のほどは定かでないが、サウナの熱で精子の質が低下するとか、頭皮が熱されてハゲるというものまで実に多種多様な健康被害が起こりうることが懸念されている。それだけ世の中にサウナ愛好者が多く、世間の関心の的になっているということなのだろうが、これだけサウナのデメリットを並べ立てられると、そこまでリスクを冒して入るんですか?という気にもなってしまう。
サウナがちょっと不安だという人に僕がおすすめするのが高濃度温泉に入ることである。
高濃度炭酸泉とは、多量の炭酸ガスを溶け込ませたお湯のことである。どうやってお湯に炭酸ガスを溶かすのかは知らないが、高濃度炭酸泉を間近で見てみると、確かに底の方から、ちょうどビールやサイダーのような感じで、無数の細かな泡の粒が立ちのぼってくるのが見える。実際に炭酸泉に身体を沈めてみると、ものの数分の間に腕や脚などが炭酸ガスの泡でびっしりと覆われる。まるで子持ち昆布になったような感じである。
高濃度炭酸泉は一般的な風呂に比べて水温が低めに設定されている。そのため普段風呂に入る時よりも、ゆっくりと長時間お湯に浸かることができる。水温が低いと身体が温まらないのではないかというとそういうことでもなく、身体に付着した炭酸ガスが体内に入り込んで、血管を押し広げ、血液の循環を促してくれるようなのだ。
従って、高濃度炭酸泉には、気泡の粒が全身をくまなく覆い尽くしてから、さらに5分間程度、レモンスカッシュのレモンにでもなったつもりでゆったりと浸かり続けるくらいが適当なのではないかと思う。
しばらく高濃度炭酸泉に浸かって、炭酸ガスの泡に身を委ねていると、脚や腕など、特に気泡に濃密に覆われている辺りがピリピリしてきて、くすぐったいようなかゆいような感じになる。この感覚がすなわち「血液の循環が促された」されたということなのだろう。高濃度炭酸泉は低温なので、身体が温まる強度と言うか度合いは普通の風呂ほどではないが、身体が温まっている持続時間は普通の風呂に比べて断然長いし、手の指の先や足の爪先など身体の末端まで血が巡っている実感がある。
サウナに入ることによる身体への負担が気になる人は、高濃度炭酸泉を試してみてはどうだろうか。