巷で話題のヤクルト1000
最近、睡眠の質を高める飲み物として「ヤクルト1000」が脚光を浴びている。僕が初めてヤクルト1000のことを知ったのは、2020年にあるラジオ番組で取り上げられていたのを聞いた時だったと記憶している。
それ以来、色々なところで「ヤクルト1000」がいかに良いものかという話を聞くようになった。なかなか眠れない日々が続いていたが「ヤクルト1000」を飲むとスッと眠りに入ることができるとか、朝起きる時の寝覚めがスッキリしたとか、あらゆる人々が大絶賛である。
それまでの僕の認識では、ヤクルトというのはお子様ランチの端っこに置かれているオマケのようなものだったが、いつの間にか睡眠の質に悩む大人の世界にまで進出していたとは・・・。
睡眠不足がいかに害を及ぼすか
かくいう僕も睡眠不足に悩んでいる大人の一人である。40代に差し掛かって、夜中の睡眠の質がいかに昼間のパフォーマンスに影響を及ぼすか、痛いほど認識するようになった。
充分な睡眠を取れている時は、頭もスッキリしていて、テキパキと仕事を進めることができるだけでなく、難しい仕事にも取り組もうとする気力もみなぎっている。しかし睡眠不足の状態が続くと、なんだか脳ミソがサランラップのような薄い膜で覆われたような感じになり、集中力、判断力、注意力といった能力が軒並みガタ落ちになる。
最近読んだ「成功している人ほどよく寝ている」という本によると、6時間睡眠を2週間続けた人は、24時間寝ていない人と同程度の注意力しかないのだそうだ。つまり、毎晩12時に就寝して、朝の6時に起床するという生活習慣は、それ自体が注意力や集中力を維持するうえで害悪ということになる。
充分な睡眠時間を確保できないのであれば、せめて睡眠の質を高めることが不可欠である。
ヤクルト1000の効果
それにしても、どうしてヤクルトを飲んだくらいで睡眠の質が向上するのか。
「ヤクルト1000」の公式サイトによると、凝縮された約1,000億個の乳酸菌シロタ株が精神的なストレスを和らげ、質の高い睡眠にいざなってくれるのだそうだ。
乳酸菌シロタ株がどのようにしてストレスを緩和するのか、そのあたりのメカニズムはよく分からないが、様々な実験を通して科学的に実証されているようなので、間違いはないだろう。
また、これも前述の「成功している人ほどよく寝ている」からの受け売りになるが、人間が眠りに落ちるためには、体温を少し下げる必要があるそうだが、この役割を担っているのがメラトニンという睡眠ホルモンなのだそうだ。
メラトニンの分泌には、腸内で作り出されるセロトニンという物質が欠かせないようなので、このあたりにもヤクルトの整腸作用が活きているのかもしれない。
早速飲んでみたが・・・
あれこれ考えているよりも、実際に飲んで体験した方が速い。
そう思い立って近所のコンビニで「ヤクルト1000」を購入して寝る前に飲んでみたが、変な話、どれだけぐっすり眠れるんだろうとワクワクしまい、逆になかなか寝付くことができなかった。
しばらくしてようやく眠ることができたが、朝になって目が覚めたあとも、ぐっすり眠れたという実感はそこまでなかったというのが正直なところだ。「飲み終わったらすぐに眠気が来てそのままぐっすり眠ってしまった」というような体験談も聞いていただけに、これには些か拍子抜けではあった。
日経Gooddayに掲載されている国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純センター長のインタビュー記事によると、乳酸菌飲料やヨーグルトには、飲む人の腸内細菌との相性があり、ある人に効果があった乳酸菌飲料でも、別の人に同様の効果が期待できるというものでもないようだ。
つまり、世の中には「ヤクルト1000と相性バッチリで飲んだら即値落ち」という人と、「ヤクルト1000と相性が悪くジュースを飲んでるのと変わらない」という人の両方が存在するということだろうか。来世でまた人間に生まれ変わったら、今度こそ「ヤクルト1000」が覿面に効く人間になりたいものである。
二度寝が捗ってしまう
しかし、たった一度のチャレンジで失敗したくらいで諦めるのもなんだか勿体ないような気がしたので、数日置いて再び飲んでみたところ、今度は「ヤクルト1000」の効果が現れてきたような気がする。
その日はいつも通り、23時過ぎに床に入り、しばらくして眠りに入った。6時過ぎにセットした目覚ましが鳴り、「もう朝か・・・やだやだ」と身体を起こそうとしたが、そこから強い眠気に襲われ、起き上がろうにも起き上がれない。結局30分ほど二度寝してしまったが、そこからの寝覚めは異常にスッキリしていた。これほど爽やかな寝覚めは何年ぶりだろうというほどである。
この日の体験により、僕はようやく「ヤクルト1000」の評判が決して大げさではないことを実感できたのである。
それにしても、目覚ましが鳴っても眠くて起きられずに二度寝してしまうというのはどうにかならないものだろうか? 寝不足で頭がぼんやりしているというのも社会人にとって由々しき問題ではあるが、どんなに頭がスッキリしていても二度寝して大事な会議に遅刻、などというのもまた社会性に欠ける行為である。
日によって効いたり効かなかったりする問題の解明が待たれる
その後も「今日こそはしっかり寝たい」という日には「ヤクルト1000」を飲むようにしている。これまで計5回ほど飲んでみたが、どうもその効果は百発百中ということではなく、日によって「よく眠れた!」という日と「そんなに効かなかったな」という日がある。
上述の國澤センター長のインタビューを準用すると、もしかすると腸内環境というのは人それぞれどころか、同じ人であっても、その日の体調や食べた物などによっても変わってしまうほどデリケートかつ気まぐれなものなのかもしれない。
「ヤクルト1000が日によって効いたり効かなかったりする問題」については、是非今後の研究の成果を待ちたいところである。
なんなら僕が個人的に実験台になっても良いので、ヤクルト本社の方が見ていたら是非ご一報いただきたい。