ヒアリは南米原産で攻撃性が高く、強い毒を持っているアリとして知られているが、日本で初めてヒアリが確認されたのは2017年6月であるとされている。
ヒアリ(fire ant)と呼ばれているのは、見た目が赤錆色であることと、刺されると火のように痛いことに由来しているようだ。
寒さに弱いため、幸いなことに日本に住み着いてしまったという話は聞いていないが、海外からのコンテナ船に乗って上陸しているのが度々確認されているらしい。
東京港にヒアリ500匹 今年初確認、環境省
僕はかつてヒアリの原産地とされる南米辺りに住んでいたことがあり、ヒアリに刺された数は数え切れないほどである。
この記事では、そんなヒアリマイスターである私がヒアリの恐ろしさについて余すことなく語っていきたいと思う。
ヒアリの巣について
僕が住んでいた場所は、かつては海底だか海岸だかだったとのことで、地面はほとんど砂であった。
地面を見渡すと、ところどころにこんもりうず高くなった砂の山があり、それらの山には無数の小さな穴が空いている。
これがヒアリの巣である。巣というよりも蟻塚と言ったほうが近いかもしれない。
もっとも、これは砂地の土に巣を作った場合であって、日本のような粘土質の土に巣を作る時はどのような形状になるのか分からない。
ヒアリはこちらが危害を与えなければ、向こうから先制攻撃を加えてくることはないように思う。
もっとも人間の側もヒアリを攻撃する理由は何もないが、一番厄介なのは、何かの弾みで不意に巣を壊してしまった時である。
ヒアリの巣を壊すとどうなるか
前述の通りヒアリの巣は砂でできているため本当に脆く、少しの刺激で簡単に崩れてしまう。
誤ってヒアリの巣を踏むなどして損害を与えてしまうと、赤い小さなアリが無数に飛び出してきて、「なにすんじゃゴルアああ」とばかりに攻撃を加えてくる。
路上でキャッチボールをしていたら間違って武闘派ヤクザの事務所の窓を割ってしまった時の感じに近い。
ヒアリの攻撃方法
この記事を書くにあたり下調べをするまで、僕はヒアリは対象を噛んで攻撃するものだとばかり思っていたが、実際は蜂のような感じでお尻の針で刺すことにより攻撃するのだそうだ。これが飛び上がるほど痛い。
ニュースの記事では、よく「線香を押し付けられたような痛み」という表現が多用されているが、それで「ああ、そういう痛みなのね」と納得できる人がどれほどいるのか謎である。
一箇所だけ刺されるのであればまだ我慢もできるが、ヒアリはよく訓練された軍隊のようにチームを組んで波状攻撃を仕掛けてくる。足首を刺してくる奴がいたかと思うと、今度は反対側の足の指を刺す奴がいる。ちょっとでも巣を壊すと数十匹から数百匹が一斉に襲いかかってくるから恐ろしい。
手で振り払っても体重が軽いせいか、風圧で舞い上がって逆にこちらの腕やら背中やらに飛び移って攻撃してくる。袖口や襟元から服の中なんかに入られてしまったら、とてもじゃないが落ち着いて対処することができずにパニック状態に陥ってしまうだろう。
ヒアリに襲われた人の中には、わずかではあるがアナフィラキシーショックで命を落とした人もいるそうである。
ヒアリに襲われた時の対処法
不運にもヒアリに襲われた時はどうすれば良いのだろうか。
国や自治体のホームページを見ても、刺されたら医療機関に行けとしか書いていないが、問題はそれ以前である。
前述の通り、ヒアリは群れになって組織的に襲いかかってくる。酷い時には数百匹に一斉にたかられるので、一匹ずつ追い払っていたのでは到底間に合わない。
個人的な経験だが、僕はヒアリに襲われた時は服を全て脱ぎ捨て、シャワーやホースを最大出力にして全身からヒアリを洗い流すしかない。
周りに水がなければ全力で走るなり飛ぶなりしてヒアリを振り飛ばすしかない。もっともヒアリに刺されれば自然と痛さで飛び跳ねるしかないわけだが。