ドワイト・ハワードの台湾デビュー戦を観戦した感想

 NBAで8度のオールスター選出、5度のリバウンド王、2度のブロック王、3度の最優秀守備選手賞などタイトルを総なめにしたドワイト・ハワードが台湾のバスケットボールリーグであるT1リーグの桃園レオパーズに加入したことが報じられた。

Dwight Howard joining Taiwanese basketball league’s Taoyuan Leopards

 ハワードは36歳とバスケットボール選手としてのキャリアは最終盤を迎えているが、それでも昨シーズンまでロサンゼルス・レイカーズでスターティングセンターを努めることもあった一線級の選手である。そんな選手が決してバスケットボール強豪国とは言えない台湾のチームと契約したことはバスケットボールファンに少なからぬ驚きを与えたはずである。

 どうやら台湾にはT1リーグ以外にも、P League+などいくつかのバスケットボールリーグがあり、T1リーグはその中でも2021年に設立された最も新しいリーグであるようだ。なぜ台湾にこれほど多くのバスケットボールが林立しているのか、そしてどのリーグが一番強いのかなどといった疑問が湧くが、その辺りは調べてみても詳しく分からなかった。

 どうやらRedditの投稿を見る限りでは、P League+が最も活況を呈しているような雰囲気である。おそらくT1リーグは、こうした複数のバスケットボールリーグが競合している現状を踏まえて、自リーグを活性化させるために、ロサンゼルス・レイカーズとの再契約に漕ぎ着けられず、浪人状態にあったハワードを迎え入れたものと思われる。彼を迎えるため、桃園レオパーズは100万ドルを超える契約を用意したとのことである。元NBAのスター選手への支払額としては安すぎるようにも思えるが、外国人選手に対して月間2万ドルを超える報酬を支払ってはならないという規定のあるT1リーグとしては破格の待遇であるようだ。

Interesting details emerge about Dwight Howard’s new contract in Taiwan

 2022年11月19日、ついにドワイト・ハワードの台湾デビュー戦が訪れた。契約が開幕直前に滑り込む形となったためか、桃園レオパーズにとってシーズン2試合目であった。ハワードの台湾デビュー戦の様子がYoutubeで公開されていたため、一体どんなものか興味を持って観戦してみた。

Dwight Howard T1 Debut Full Highlights – 38PTS 25REBS 9AST 4BLKS 2022.11.19 #taiwan #t1

 ドワイト・ハワードはNBAではセンターのポジションを務めており、彼に期待されていたのはリバウンドやブロックショットなど、どちらかといえばゴール下での地味な仕事であった。しかし、台湾でのハワードときたら、ゴール下の遥かかなたからスリーポイントシュートを打つわ、ディフェンダーと正対して1on1を仕掛けるわ、自らドリブルをついて速攻をリードするわ、もうやりたい放題である。NBAだったら決して許されない暴挙と言える。

 ボールをもらうとすぐにドリブルをついたりシュートを狙ったりするものだから、チームのオフェンスの流れも悪くなる。これでよくチームメイトから不満の声が出ないものだと思ったが、そこは元NBAスターにお客様として来ていただいている経緯もあり、仕方ないと思っているのかもしれない。

 肝心の試合の行方だが、途中まで桃園レオパーズは大差でリードされる展開であったが、終盤に来てドワイト・ハワードの獅子奮迅の活躍により延長戦にまで漕ぎ着けた。その後、延長戦でもハワードの独壇場が続き、桃園レオパーズはめでたくシーズン初勝利を収める結果となったわけだが、この展開にもそこはかとなく忖度の匂いが感じられたのは僕の穿った見方のせいなのだろうか。

 この試合でドワイト・ハワードは38得点、25リバウンド、9アシスト、4ブロックという文字通りモンスター級のスタッツを残したが、元NBA選手がこれだけボールを独占すれば当たり前だよなという感想である。

 今後も台湾で好き放題のプレーを続けるドワイト・ハワードの行方を見守っていきたいと思う。

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