新しい年を迎えると「今年こそ日記を書こう」と決意を新たにする人も多いのではないだろうか。
しかし、日記を書き続けるということはなかなか難しいもので、「三日坊主になりがちなもの」ランキングのトップ3には必ず日記が食い込んでくると言っても過言ではない。
自慢ではないが、筆者は2012年以来10年以上にわたって日記を継続してきた自称上級日記ライターである。しかし、かく言う筆者も一朝一夕で今日の地位を獲得したのではなく、ここに至るまで様々な試行錯誤や葛藤があったわけである。
この記事では今年から新たに日記を付け始める初級日記ライターの方々に向けた日記継続の秘訣を伝授していきたい。
毎日つけることにこだわらない
「今日から頑張って日記をつけるぞ」と意気込んでいる人に、のっけから意識の低いことを言うようで申し訳ないが、「日記は毎日続けなくてもいい」というマインドセットを持つことはとても重要である。
自分の話になるが、筆者が日記をつけ始めたのは2012年8月10日のことである。そこからこの記事を書いている2023年1月1日まで3,796日だが、この期間に僕が書いた日記は3,220日分ほどである。およそ3,800日のうち500日以上日記を書かない日があったということになるが、過ぎてしまったことは仕方がない。ブルーハーツの真島昌利も歌っているように、「ルーレットが回るように毎日が過ぎて」いくのである。
これが仕事として誰かにお金をもらって書くものであれば話は別だが、日記は自分が自分のためだけに書くのである。
日記を続けることを目的とするのであれば、昨日の日記を書かなかったことを悔やむよりも、明日の日記を書くことの方に意識を向けるべきであろう。
まずは事実だけ書いてみる
日記初心者にありがちなミスは「何もかも日記に書き留めてやろう」ということである。
書き始めの頃は、その日に起こったことや、それに対して自分が感じたこと全てを描写しようとしたり、文章に技巧を凝らしたりポエティックな表現を用いたりしようとする。しかし、そうした試みはやがて自分自身の首を締めることになり、日記を続けていくことが途轍もなくしんどくなってしまう。
まずはその日にあった事実だけを淡々と書くところから始めてみるべきである。「新宿に買い物に行った」とか「上司に怒られた」みたいなほんの短い一文でも良い。
この後の項目とも関連するが、日記というのは、後で見返した時に、自分の脳がその日のことを思い出すきっかけとなればそれで十分であると筆者は考えている。人間の脳というものは捨てたものではなく、忘却の彼方にあるような記憶でも、ちょっとした取っ掛かりがあれば、それに関連することを連鎖先に思い出してくれるように出来ているのだ。
その日のページが白紙の場合、記憶を手繰り寄せる手掛かりが何もないが、ほんの一文でも書いておけば、あとは自分の脳がその前後のストーリーを呼び覚ましてくれるだろう。
余裕があれば、その事実に対して自分が感じたことや考えたことを添えてやると日記の彩りがより豊かなものになるだろう。
たまには昔の日記を振り返る
日記は趣味というほどエンターテイメント性が高いものでもない。個人的には割りに合わない長期投資のようなものだと思っている。日記が少しだけ価値を発揮するとすれば、それは日記を書いてから一年以上経過した後のことになるだろう。
人間生きていると、ふとした時に「去年の今頃は何をしていたっけ?」と気になることがある。そんな5年に一度あるかないかの機会に、過去につけた日記帳が俄然輝き出すのである。実際、古い日記を読むのは楽しいものである。昔の出来事であれば、成功体験はもとより、失敗したことやアホなこともより懐かしく振り返ることができる。そんな風に「日記をつけるのも悪くないな」と思うことができれば、明日以降も日記をつける活力が生まれるというものである。
参考:私の日記執筆法
最後になるが、参考までに筆者がどのように日記を付けているか紹介したい。
2012年8月以降、筆者はDayOneというiOS/MacOSアプリに日記を記録している。ただし、DayOneはあくまで最終的な日記の保存先であって、その執筆にはCraftというアプリを使っている。CraftはMacやiPhoneのほか、WindowsやWebでも使うことができるほか、日単位で記録を付けられるデイリーノート機能が実装されているため、日記の執筆に適している。
Craftのデイリーノート機能を使った日記の執筆についてはこちらの記事も参照していただきたい。
デジタル的に日記をつけるメリットは、やはりその検索性にある。例えば「沖縄に旅行に行ったのはいつだったかな」と思い出したい時には「沖縄」と検索してみると、「沖縄」という単語が入ったエントリーを抽出することができる。
日記の最終的な保存をDayOneにしているのは、GPSも連動させることにより、その日に行った場所や天気も自動で入力しておいてくれるからである。「雪が降った日」や「オーストラリアにいた日」などといった条件から過去を振り返ることもできるので便利なのだ。
日記を書かなければ思い出せないような日のことも「その日に起きた事実」に加えて「その日いた場所」と「その日の天気」の情報がアプリの中に仕舞ってあれば、その日に感じたことや嗅いだ匂いも蘇ってくることもあるのではないだろうか。